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2018-11-16

古川夏好さんの裁判を終えて

約2年前、私たちの大切なお客さんが行方不明になり、約一ヵ月弱の警察による捜索もむなしく残酷な結果となった事件がありました。今でも2016年9月を昨日の事のように思い出します。

そして事件から2年、ようやく裁判を終えました(裁判自体は4週間ほど行われ結審)。殺人容疑のウィリアム・ビクター・シュナイダーに第二級殺人で有罪、無期懲役(仮釈放申請14年間禁止)という判決でした。

殺人犯のウィリアム・シュナイダーは裁判を通して不誠実でした。古川さん死亡との関わりを認めているにも関わらず不鮮明で曖昧な供述に終始し、殺人についてはむしろ無罪を主張。状況的にも実態は第一級殺人に間違いないと確信していますが、証拠不十分のため検察は第二級殺人で告訴するしか無かったのだと考えています。本当に悔しい限りです。

裁判を終え犯人に厳罰が下ったところで、実世界は何ら一片とも変わる事がありません。ご家族や友人・知人にとって夏好さんは居ないままです。このウィリアムは死をもってしても罪を償う事なんて出来ません。お母さまやご家族が受けた痛みはどれだけのものか、私には推し量ることも想像も到底出来ません。

しかしながら「陪審員裁判」で有罪がおりたのは、カナダ社会がこの極悪な犯人への制裁を求めている事にほかなりません。社会が夏好さんの死を悲しみ、そして夏好さんの味方になりました。この判決は罪を償うにはほど遠いですが、お母さまやご家族の皆様にとって少しでも落ち着きのある時間を取り戻す助けになればと願っています。

夏好さんの友人より:Joffre Lakesでのキャンプにて

 


悲しく辛い事件でしたが、この事がきっかけで夏好さんのご家族や友人と親しくなり、私にとっても大切な人間関係が出来ました。夏好さんがカナダで過ごしたのは四カ月ほどの短期間にも関わらず、築いた多くの友人・知人(しかも幅広い年齢層に至るつながり)に驚き、また会う人会う人皆さん本当に素晴らしい方ばかりで、夏好さんの人柄を改めて知る事となりました。

特に夏好さんのお母さんとも深いつながりが出来ました。私がお母さんの立場だったら、深く悲しみながらもあれほど毅然と、勇気を持ち、かつ慈悲と思いやりを持ち続ける事は出来なかったと思います。夏好さんへの愛が深いからこそ成し得たとしか言いようがありません。

そんなかけがいのない皆さんとの関係は夏好さんからいただいた大切な贈り物です。彼女が居なかったら存在しなかった人間関係が広がっていくことが、目に見えない形で夏好さんが今も存在する証です。人生が変わり、世界の一部になった証拠です。


私はこの事件を通して多くの亊を学びました。2016年9月は狂気の沙汰で、夏好さん失踪の本質と関係ないところで色んな事がおきました。たくさんの意見・感情・エゴ・エネルギーがぶつかり合い、消耗しつつ、何を・誰を信じればいいのかわからないような状況でした。

こんな混乱の中にあり、幾つもの教訓がありました。

  • 信じられるのは自分しかいない
  • 大切な事以外は重要ではない
  • 人は幻想・妄想の中で生きている
  • 自ら強い関心を表に出す人に限って、実際は関心なんか無い

捜索支援活動は、メディアの報道が連日続いた事もあり、日本・カナダの一般の方やマスコミから多くの問合せ・連絡がありました。多くは心配や同情からのメッセージ、情報を持つ方はお知らせいただき、ボランティア活動にはありがたくも大変多くの方にご協力いただきました。人が助け合うというシンプルな行為にある感動を改めて体験した日々でした。

ただ連絡をいただく中の一部は、お祭り騒ぎに便乗したいだけと思われる人などからの情報に振り回され時間を取られる事もありました。
中には家族と連絡をとって嘘・妄想を吹き込み私たちとの連絡を妨害したり、ご家族を混乱に陥れ、精神的な二次被害をかけた詐欺的夫婦もいました。(もはや二つ目の事件と言っても大げさで無い混乱でした。留学業界では有名なクレーマー夫婦(カナダ人夫と日本人妻)で、この事件の後もトラブルを起こしている話が耳に届いています。日本人がこんな事を行っている事に恥ずかしさを覚えます)

このような嘘か本当かわからない人・情報が押し寄せてくると、本当に信じられるのは自分だけと強く確信するようになりました。どんな意見や情報でも、例え仲間からの話でも、自分がその都度判断をしたり裏付けを重ねていかないといけないのです。
また目の前にとてつもなく重要な事が起きていると、それと関連性の無いその他のどうでもいい事は次々と流していくようになります。邪魔されても怒りすら起きないし、そこに感情をとらわれる余裕がそもそもないのです。自分が周りからどう思われてても勘違いされてても、どうでもいいのです。他人は自分の真実を知らないのですから。

そして人は自分の思い込みや妄想・幻想が膨らむと事実との境目が見えなくなり、妄想を信じるようになる事も実感しました。当時はマスコミが我々から聞いたり関係者に話を聞いてニュースを組み立てる状況もあったのですが、断片的・主観的な情報で作られたニュースやワイドショー、ネットの書き込みを見た人が、あたかも情報ソースである現場や私たちよりも事実を知っているかのような言動がまかり通っていました。これが悪化してネットではある事・無い事が自由気ままに書かれ、それが事実かのように見えてしまうスパイラルになります。

また、夏好さんを知らない第三者がニュースやネットから得た知識で、本人なりの結論を出して意見を当事者に伝えたりネットで発表する人は、やはり想像・妄想・断定のもとに行っているとしか言えません。自ら気づかずに断定している亊が、家族・知人・関係者をどう傷つけているのか知らないのです。これが出来るのは「本当はその被害者に関心が無いから」なんだと思います。関心が無いというのは、共感や慈悲の気持ちはあるかもしれないが、本当に夏好さんを知っていて彼女を想う人であれば、いちいち想像から言葉や行動に移す必要は無いし、確信が無い事をネットなどわざわざ発言する必要ありません。

しかしながら、多くの方の激励やヘルプは、私たちのみならずご家族・関係者を支えていただきました。個人的にもここで改めて感謝の意を表したいと思います。本当にありがとうございました。


この件を通し、大切な知人や友人が出来また多くの学びを得たのは、全て夏好さんが居たからです。今でも残る彼女の存在感を心に、今後も身を引き締めて生きていこうと思います。

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