
「BC州の学校とオンタリオ州の学校、どちらも気になっている」——マイルストーンカナダにご相談いただく保護者の方から、とてもよくお聞きする状況です。そして必ずといっていいほど続くのが、この質問です。
「もし途中で州をまたいで転校することになったら、それまでに取った単位はどうなるんですか?」
結論からお伝えすると、カナダ国内の州をまたぐ転校では、教科の単位は原則として引き継がれます。制度としてきちんと守られているので、「ゼロからやり直し」ということはまず起こりません。
ただし、そのまま全部が横滑りするわけでもありません。BC州とオンタリオ州では単位の数え方そのものが違い、州ごとの独自ルールもあるためです。このページでは、双方向の引き継ぎルールを、できるだけ数字を追わずに理解できる形で整理しました。
細かい話に入る前に、全体像をつかんでおきましょう。この3つを知っておくだけで、学校選びのときの不安はかなり軽くなるはずです。
原則そのまま使える
まったく違う
「その州だけのルール」
両州の一番大きな違いは、1科目あたりの単位の数え方です。ここを取り違えると「単位が4分の1になってしまった」と驚いてしまうので、最初に整理しておきます。
この換算レートを頭に入れたうえで、両州の卒業条件を並べてみます。
| 比較項目 | オンタリオ州(OSSD) | BC州(Dogwood) |
|---|---|---|
| 卒業に必要な単位 | 30単位 | 80単位 |
| 1科目あたり | 1単位(110時間) | 4単位 |
| 数える学年 | Grade 9〜12(4年分) | Grade 10〜12(3年分) |
| 卒業テスト | 識字テスト(OSSLT)1種類 | 州統一アセスメント(数的思考・読解力) |
| その州だけの条件 | ボランティア40時間/オンライン科目2単位/フランス語1単位 | キャリア科目8単位/先住民関連4単位 |
オンタリオ州はGrade 9から、BC州はGrade 10から単位を数えます。この1年のズレが、転校の方向によって有利にも不利にも働きます。詳しくはこの後のセクションでご説明します。

ご相談の現場でいちばん多い誤解が、この「単位の数え方の違い」です。オンタリオで8単位取ったお子さんが「BCでは32単位になります」とお伝えすると、たいてい驚かれます。逆にBCからオンタリオへ移る方は、数字が4分の1になるので不安になられる。でも中身は同じものを、違うものさしで測っているだけなんですね。まずはここを切り離して考えていただくと、その後の話がすっと入ってきます。
ケース① ON州からBC州へ
オンタリオ州の学校からBC州の学校へ移るケースです。BC州教育省は「原則として、カナダの他州で履修したコースには同等性による単位を付与すべき」という方針を明確に示しており、教科の単位はスムーズに引き継がれます。
- Grade 10〜12の教科単位(英語・数学・理科・社会・選択科目)
- オンタリオの1単位が、BCの4単位として換算されます
- 認定できる単位数に上限はありません
- 審査に手数料はかかりません
- Grade 9で取った単位(BCは数える対象外)
- キャリア教育科目(BC独自・計8単位)
- 先住民関連の科目(BC独自・4単位)
- BC州の統一アセスメント(必ず受験)
オンタリオ州はGrade 9から単位を数えるため、多くの生徒はGrade 9の1年間で8単位ほどを取得しています。ところがBC州はGrade 10からしか数えないため、このGrade 9分は卒業単位としてはカウントされません。
ただし、これは「1年間が無駄になる」という意味ではありません。BC州はもともとGrade 10〜12の3年間で80単位を積み上げる設計なので、Grade 10以降をきちんと履修していれば、単位が足りなくなることは通常ありません。「早めに移るほど影響が小さい」と覚えておいてください。
BC州には、オンタリオ州に対応する科目が存在しない必修があります。これらは移った先で新たに履修することになります。
| BC州の必修 | 単位 | 内容 |
|---|---|---|
| キャリア教育科目 | 8単位 | 進路設計を学ぶ科目と、卒業前にまとめる集大成の課題。学校の指導のもとで行う必要があります |
| 先住民関連科目 | 4単位 | 2023年度から加わった比較的新しい必修です |
先住民の視点から学ぶ英語科目(English First Peoples 12)を選ぶと、「英語の必修」と「先住民関連4単位」を1科目で同時に満たせます。時間割に余裕がないお子さんには有効な選択肢なので、学校のカウンセラーに相談してみてください。
BC州には卒業のための州統一アセスメントがあり、他州から移ってきた生徒も受験が必要です。ただし転入時期によって扱いが変わります。
| アセスメント | Grade 11以降に転入した場合 |
|---|---|
| 読解力(Grade 10相当) | 免除されます |
| 数的思考(Grade 10相当) | 受験が必要 |
| 読解力(Grade 12相当) | 受験が必要 |
数的思考のテストは、計算力そのものより「日常的な場面で数字をどう使うか」を英語で読み解く力が問われます。日本で数学が得意だったお子さんでも、英語の読解でつまずくことがあります。卒業までに3回まで挑戦できるので、早めに一度受けておくと安心です。
ケース② BC州からON州へ
逆方向の転校です。オンタリオ州では、州外から来た生徒について校長が成績証明書をもとに同等性評価を行い、何単位を認定し、あと何単位が必要かを判断します。
- Grade 10〜12の教科単位(BCの4単位=オンタリオの1単位)
- Grade 9で学んだ内容も評価対象になります
- 必修が足りない場合、一定の範囲で他科目への振替が認められます
- ボランティア時間は校長の判断で調整されることがあります
- フランス語の必修(BCには対応科目がない)
- カナダ地理(オンタリオではGrade 9の必修)
- 識字テスト(OSSLT)は必ず受験
- オンライン科目2単位/金融リテラシー要件
ON州→BC州では消えてしまったGrade 9ですが、この方向では逆に味方になります。オンタリオ州はGrade 9から数えるため、BC州では卒業単位に算入されなかったGrade 9の学習も、評価の対象に含まれるからです。
BC州の80単位はオンタリオ州の20単位に相当し、それだけでは30単位に届きません。しかしGrade 9の1年分が加わることで、この差はかなり埋まります。
オンタリオ州ではフランス語が必修(1単位)です。BC州の高校では必修ではないため、BC州から移ってきた生徒の多くは、この単位を持っていません。同じくGrade 9必修のカナダ地理も、BC州には対応科目がないことが一般的です。
オンタリオ州では、校長の判断で必修科目のうち3単位までを他の科目に振り替えられる仕組みが用意されています。フランス語やカナダ地理が足りない場合、この振替でカバーできるケースが多く、実務上はここが安全弁として機能します。振り替えた内容は成績証明書に記載されます。
オンタリオ州の卒業には、教科の単位以外にもいくつかの条件があります。転入生の扱いを整理すると次のとおりです。
| 条件 | 転入生の扱い |
|---|---|
| 識字テスト(OSSLT) | 必ず受験が必要。不合格でも再受験でき、代替の科目を履修する道もあります |
| ボランティア40時間 | 校長が必要時間数を判断。他州での活動記録が認められる場合もあります |
| オンライン科目2単位 | 校長が、これまでの学習内容から充足状況を判断します |
| 金融リテラシー要件 | 2026年度から順次導入。Grade 10のキャリア科目の中で実施されます |
オンタリオ州には、「オンタリオでの単位がなく、高校を3年以上修了している生徒は、Grade 11または12の科目で最低4単位をオンタリオで取得する必要がある」というルールがあります。つまり最終学年だけオンタリオに移って卒業証書だけ受け取る、ということはできません。転校を考えるなら、遅くともGrade 11のうちに動くのが現実的です。
ここまで方向別に見てきましたが、実は方向に関係なく効いてくる注意点が3つあります。むしろ、こちらのほうが実務上のダメージは大きくなりがちです。
これが最も見落とされがちで、最も影響の大きいポイントです。履修が終わっていない科目は、単位として認定されません。そして単位になっていないものは、移った先での同等性評価の対象にもなりません。
たとえば9月から始まった学期を4月の時点で離れると、その学期に取っていた科目はすべて未修了となり、数か月分の学習がまるごと単位として残らないことになります。「日本の新学期に合わせて4月に移りたい」というご相談はよくいただくのですが、単位のことだけを考えれば、学年が終わる6月まで通いきるのが圧倒的に有利です。
Grade 10で移るのと、Grade 12で移るのとでは、難易度がまったく違います。高学年になるほど、移った先の必修を消化する時間が足りなくなるからです。
| 転校のタイミング | 難易度 | ひとこと |
|---|---|---|
| Grade 10が終わってから | ◎ 余裕あり | 残り2年で新しい州の必修を無理なく消化できます |
| Grade 11が終わってから | △ 要精査 | 1年に必修が集中します。事前の単位確認が必須です |
| Grade 12の途中 | × 非推奨 | 期限内の卒業が難しくなります |
意外と知られていないのが、この点です。他州から移ってきた単位は、成績証明書に点数(%)で記載される場合と、「移行済み」という記号だけで記載される場合があります。
記号だけになってしまうと、その科目の成績が数値として残らないため、大学出願時の成績計算に反映されません。BC州の運用資料でも、記号での処理は進学の選択肢に長期的な影響を及ぼしうるため、可能な限り点数を割り当てるべきとされています。
- これまでの成績を点数(%)で転記してもらえるか
- 何単位が認定され、あと何単位必要かを書面で出してもらえるか
- 不足している必修を、いつ・どの科目で埋めるのか
- 州の卒業テストをいつ受けるのか

単位の数は足りているのに、成績が数値で残っていなかったために大学出願で苦労した——というケースを、これまで何度か見てきました。転校の相談というと、どうしても「何単位引き継げるか」に意識が向きがちですが、実は「どう記載されるか」のほうが、あとから効いてくることがあります。転入手続きのときに一言お願いしておくだけで防げる話なので、私たちは必ずここを確認するようにしています。
ここまでは「カナダ国内で転校する場合」の一般的な話でしたが、日本から来た留学生の場合、もう一つ知っておきたいルールがあります。
BC州には、カナダ到着前の2年間を英語(またはフランス語)以外で学んできた留学生について、一部の主要科目は必ずBC州の学校で履修しなければならないという決まりがあります。対象になるのは、Grade 11以上の英語・数学・理科・社会と、キャリア教育科目です。
このルールが効いてくるのは、Grade 11以上の単位を他州から持ち込もうとしたときです。
たとえばオンタリオ州でGrade 10まで修了してBC州へ移る場合、持ち込む単位はすべてGrade 10のものなので、このルールとは重なりません。実質的な不利益は生じません。
一方、オンタリオ州でGrade 11まで修了してから移る場合は、英語・数学・理科・社会の4科目がBC州で取り直しになります。同じ「1年ずれるだけ」でも、負担がまったく違ってきます。
お子さんが日本の中学から直接カナダの高校に入った場合、この2年ルールの対象になることがほとんどです。州をまたぐ転校の可能性が少しでもあるなら、Grade 10の終わりまでに動くのが最も安全とお考えください。
ここまでの内容をまとめると、理想的な進め方は次のようになります。
-
転校を考え始めたら、まず現在の学校で科目構成を確認どの科目が前期・後期のどちらに配置されているかを把握します。ここが後の判断材料になります。
-
移り先の学校に「単位認定の見込み」を書面で依頼出願の段階で、何単位が認定され、あと何が必要かを出してもらいます。口頭ではなく書面で受け取るのが重要です。
-
今の学年を最後まで通いきる(6月まで)未修了の科目は単位になりません。数か月を惜しんで1年分の学習を失わないようにします。
-
成績証明書とシラバスを揃える履修時間数が書かれた書類があると、同等性の判断がスムーズに進みます。
-
9月の新学期から新しい学校へカナダの学年の区切りに合わせることで、単位のロスも学習面の混乱も最小限に抑えられます。
ここまでお読みいただいてお分かりのとおり、州をまたぐ転校はやってできないことではないけれど、確実に手間は増えるというのが実際のところです。
だからこそ、最初の学校選びの段階で「この子は卒業までここで過ごせそうか」を丁寧に見極めることが、いちばんの近道になります。私たちがBC州・オンタリオ州の両方を扱っているのは、ご家庭の希望に合う学校を、州にとらわれずに提案するためです。
- 教科の単位は、州が変わっても原則として引き継がれます
- オンタリオの1単位=BCの4単位。数字は変わっても中身は同じ
- オンタリオ→BCではGrade 9の単位が数えられなくなります
- BC→オンタリオではGrade 9の学習が評価対象に戻ります
- 引き継げないのは、その州独自の必修と卒業テスト
- 学期の途中で動かないことが、最も大切な原則です
- 成績が点数で記載されるかどうかを、必ず確認しましょう
単位の話は数字が多く、最初はとっつきにくく感じられるかもしれません。ただ、実際に必要な判断は「いつ動くか」と「何を書面で確認しておくか」の2つに集約されます。ここさえ押さえておけば、州をまたぐ転校は決して怖いものではありません。
マイルストーンカナダはBC州・オンタリオ州の両方に提携校を持ち、現地スタッフが学校とのやり取りを直接行っています。単位の引き継ぎや学校選びについて気になることがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。
ご相談・お問合せ
単位の引き継ぎや学校選びの不安、州の選び方など、カナダ現地の経験豊富なカウンセラーが親身にお答えします。
もっと気軽に聞きたい方へフォーム入力が手間な方、まずは一言だけ聞いてみたい方は、LINEでもご相談を受け付けています。LINEで相談する





