
Round Squareとは何か
Round Squareは、6つのテーマ(IDEALSと呼ばれる)を軸に人格教育に取り組む、50カ国・280校以上の学校による国際コミュニティです。本部はイギリスのウィンザーに置かれ、英国法に基づく登録慈善団体として運営されています。
その起源は、ドイツ出身の教育哲学者クルト・ハーン(Kurt Hahn)の思想にあります。ハーンは「学校の目的は大学進学の準備だけであってはならない」という信念のもと、20世紀初頭から独自の教育哲学を展開しました。彼はスコットランドのゴードンストゥン校など複数の学校を設立し、「学生が人生に向き合い、勇気・寛大さ・想像力・誠実さ・決断力が求められる体験をすることが重要だ」と説きました。
Round Squareという名称は、ゴードンストゥン校にある特徴的な建物(17世紀建造の円形の広場)に由来します。1960年代後半に7校によって設立され、1996年には20校、現在では50カ国・200校以上にまで拡大しています。

Round Squareは名前だけ見るとわかりにくいですが、シンプルに言うと「学力だけでなく、人としての成長を重視する学校が集まった国際ネットワーク」です。CAISが運営品質の保証団体であるのとは異なり、Round Squareは学校の教育文化・生徒の体験・国際交流に重点を置いています。加盟しているというだけで、その学校が「探究・奉仕・冒険」に本気で取り組む文化を持っているというシグナルになります。
6つのIDEALS――Round Squareの核心
Round Squareの教育活動は、「IDEALS」と呼ばれる6つのテーマを軸に構成されています。国際理解・民主主義・環境への責任・冒険・リーダーシップ・奉仕の頭文字を取ったものです。それぞれが独立した科目として教えられるのではなく、学校生活全体・課外活動・国際プログラムを通じて体験的に学ばれます。
Internationalism
国際理解
異文化への理解と寛容。国を超えた友情と視野の育成
Democracy
民主主義
公正・正義・民主的なガバナンスへの関与と理解
Environment
環境への責任
自然環境の保護と持続可能な社会への貢献意識
Adventure
冒険
自分の限界に挑戦し、勇気と自己発見を促す体験
Leadership
リーダーシップ
奉仕に根ざしたリーダーシップ。他者への責任と思いやり
Service
奉仕
地域・国際社会への具体的な貢献と봉사活動への参加
これらのIDEALSは抽象的な理念にとどまらず、生徒が12の個人的な徳目と資質を発見・習得していく学習の旅として設計されており、世界で積極的な変化を生み出せるグローバルな人材の育成を目指しています。学校によってIDEALSの実践方法は異なり、それぞれの文化・スタイル・施設に合った形で取り入れられています。
加盟校の生徒が参加できる活動
Round Square加盟校の生徒が特に享受できるのが、世界規模のプログラムへのアクセスです。日本の高校では到底経験できないような機会が、学校生活の延長線上に用意されています。
毎年秋に、世界各地の加盟校を会場として開催される年次国際会議。生徒代表が集まり、ゲストスピーカーの講演・グループ討議・文化体験・アドベンチャー活動などを通じて交流する。直近ではコロンビアで900名以上が参加。次回は2025年ドバイで1,200名以上の参加が見込まれている。
加盟校間で数週間〜数ヶ月の学生交換プログラムが組まれる。インドや南アフリカへの3ヶ月間の交換プログラムに参加した学校もある。通常の留学では得られない「学校と学校のつながり」を通じた異文化体験が可能。
途上国や困窮地域でのボランティア・インフラ整備・環境保護などの国際奉仕活動。タイでの水道整備、ドミニカ共和国での孤児院建設など、実際に現地の生活を変える体験型奉仕が組まれている。
登山・カヌー・野外探索など、自分の限界に挑戦する体験型アクティビティ。学校ごとに地域の自然環境を活かしたプログラムが組まれており、精神的な強さと自己効力感を育む。
CAISやIBとの違い
カナダの私立高校を調べていると、CAIS・IB・Round Squareという3つの名前が出てきます。それぞれ目的が全く異なるため、混同しないよう整理しておきます。
| 比較項目 | Round Square | CAIS | IB(国際バカロレア) |
|---|---|---|---|
| 目的・役割 | 人格教育・国際交流・体験学習を重視する学校のネットワーク | 学校の運営品質・教育水準を第三者評価・認定する機関 | 大学進学に対応した国際的カリキュラムの認定・運営機関 |
| 加盟の意味 | IDEALSを共有する学校文化・価値観への賛同 | 財務・施設・教育・留学生支援など12基準をクリア | IBカリキュラムを提供・実施できる学校として認定 |
| 生徒への直接的メリット | 国際交流・奉仕活動・カンファレンス参加の機会 | 安全で質の高い環境での学習が保証される | IBディプロマ取得→世界中の大学への出願資格 |
| カナダでの加盟校数 | 十数校程度 | 95校以上 | 700校以上(公私立含む) |
| 希少性 | 高い(限られた学校のみ) | 中程度 | 低い(公立でも多い) |
注目すべきは、これらの認定は排他的ではなく、複数を同時に持つ学校が存在するという点です。CAIS認定 + IB認定 + Round Square加盟の3つを兼ね備えた学校は、それぞれの観点から質が担保されているといえます。
留学を選ぶ視点からの意味
「Round Square加盟校かどうか」は、どのような視点で学校選びの判断材料になるのでしょうか。
- 学校の教育文化が見える――成績・資格だけでなく、人間的成長・奉仕・冒険を重視する文化を持つ学校であることが、加盟という形で示されている
- 世界規模の交流機会がある――カンファレンス・学生交換・奉仕プロジェクトへの参加権は、通常の留学にはないグローバルな体験を上乗せしてくれる
- 大学進学にもプラスになる――Round Squareの活動(国際奉仕・カンファレンス登壇・交換留学など)は、大学出願時の課外活動欄で強力なエピソードになり得る
- 加盟校同士の横のつながりがある――在学中に世界各地の同世代と本物の友人関係を築ける。これは社会人になってからも続く人的ネットワークになる

Round Squareの価値を最も実感するのは、実際にカンファレンスに参加した生徒たちでしょうね。世界30カ国から集まった同世代と1週間生活を共にして、「自分がいかに狭い世界にいたか」「これほど多様な価値観が世界にあるのか」という気づきを得て帰ってくる。この体験は、どんな偏差値や資格よりも深く人を変えます。それがRound Squareの本当の意味だと思います。
カナダのRound Square加盟校
カナダ国内のRound Square加盟校は十数校程度にとどまっており、IBやCAISと比較して希少性の高い認定です。以下はカナダを代表する加盟校の一部です。
1891年創立、カナダの首都オタワに位置する名門校。IB・CAIS・Round Squareの3つを兼ね備えた数少ない学校のひとつ。60カ国以上から留学生が集まり、Round Square加盟を通じた国際交流・奉仕活動が学校生活に深く根づいている。「世界を教室にする」という言葉を体現するプログラムが充実。
学校詳細を見る →1998年にRound Square加盟。タイでの水道整備プロジェクトやドミニカ共和国での孤児院建設など、国際奉仕への取り組みが充実している。ビクトリアという地の利を活かした環境教育も評価が高い。
1889年創立のカナダ屈指の全寮制名門校。IB・CAIS・Round Squareをすべて満たし、多面的な品質保証が揃っている。Round Square加盟を通じた国際カンファレンスへの参加や奉仕活動が、学校が掲げる全人教育の一翼を担っている。
学校詳細を見る →トロント近郊の名門全寮制校。Round Square理事会のアメリカズ地域代表を校長が務めるなど、組織レベルでの関与が深い。リーダーシップ・奉仕・国際交流を学校文化の柱に据えている。
- CAISやIBとは目的が異なる。「人格教育・国際体験」の文化指標として捉える
- カンファレンス・交換留学・奉仕プロジェクトなど、通常の留学にない体験機会がある
- カナダ国内の加盟校は十数校程度と少なく、希少性がある
- 加盟は学校の品質保証ではなく、教育文化・価値観の指標。学力・施設は別途確認が必要
- 大学出願時の課外活動・リーダーシップ実績として、Round Square活動は強いエピソードになる




