
カナダ西海岸、バンクーバー島の海沿いに立つブレントウッド・カレッジ・スクール(Brentwood College School)は、1923年創立、全校生徒約550名の共学ボーディングスクールです。最大の特徴は、生徒の約80%が寮で生活する「ボーディングが中心にある学校」であること。通学生が主体で寮が付属しているタイプの学校とは、日々の密度がまったく違います。
もう一つの特徴が、午前中をすべて学業に充て、午後をアーツ(芸術)とアスレチックス(スポーツ)に振り分ける独自の時間割です。学校はこれを「トライパータイト・プログラム」と呼び、学業・芸術・スポーツの3つを、生徒が「どれかを諦める」のではなく全部やれる形に設計しています。世界50か国以上から生徒が集まり、日本からも例年数名が在籍しています。

ブレントウッドは「寮が付いている学校」ではなく「寮そのものが学校」という表現がいちばん正確です。約8割が寮生なので、週末にキャンパスが閑散とすることがありません。ここは学校選びで見落とされがちですが、留学生にとっては非常に大きな差になります。一方で、生徒の8割は北米出身です。日本人や留学生に囲まれ安心して始めたい方には向きませんので、そこは正直にお伝えしています。
ブレントウッド・カレッジ・スクール基本情報
| 学校名 | ブレントウッド・カレッジ・スクール(Brentwood College School) |
| 所在地 | BC州ミルベイ(バンクーバー島) |
| 住所・地図 | 2735 Mount Baker Road, Mill Bay, BC V8H 1K8, Canada |
| 創立 | 1923年 |
| 対象学年 | グレード8~12(グレード8は通学生の枠が中心) |
| 学生数 | 約550人(うち約80%が寮生) |
| 留学生比率 | 約20%(北米以外の国籍)。50か国以上から在籍 |
| 共学/別学 | 共学(寮は男女別、8ハウス制) |
| 滞在形式 | キャンパス一体型の寮(8つのボーディングハウス) |
| 入学時期 | 9月 |
| 提供プログラム | BC州高校卒業(Dogwood Diploma)、AP |
| 主な加盟 | CAIS/ISABC/TABS/WBSA/NAIS |
| ホームページ | https://www.brentwood.ca/ |
| 学校運営SNS |
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学校の概要と特徴

ブレントウッドは1923年、バンクーバー島のブレントウッド湾に男子校として創立されました。1947年の火災で校舎を焼失し、1961年に現在のミルベイの土地で再出発しています。1972年にはカナダの男子ボーディングスクールとして初めて女子生徒の受け入れを開始し、現在では男女ほぼ半々の共学校になりました。100年を超える歴史を持ちながら、伝統校にありがちな重さよりも、時間割や施設の設計に見られる合理性・現代性のほうが目立つ学校です。
学校の中核にあるのがトライパータイト・プログラムです。午前中は3コマの授業がすべて学業に充てられ、午後はアーツとアスレチックスが日替わりで入ります。月・水・金の午後はアーツブロックが4枠、火・木・土の午後はアスレチックスというサイクルです。
「勉強を優先すると部活を諦める」「スポーツに打ち込むと成績が落ちる」という二者択一を、時間割の構造そのもので解消しようという発想です。学校側はこれを、集中力が高い午前に学業を置き、身体を使う活動を午後に置くという学習効率の観点から説明しています。

もう一つ、この学校を理解するうえで欠かせないのが「選んで来た生徒しかいない」という文化です。学校は入学者選考の段階で、生徒本人の意思を重視することを明言しています。親に決められて来たのではなく、自分でここを選んだ生徒が集まっているという前提が、寮生活のトーンやハウスの結束の強さにつながっています。カナダの私立高校の中でも、学校の哲学がここまではっきり言語化されているケースは多くありません。
ロケーション


キャンパスはバンクーバー島南部、ミルベイという海沿いの小さな町にあります。BC州の州都ビクトリアから車でおよそ45分。バンクーバー国際空港からは、乗り継ぎ便かフェリーを使ってのアクセスになります。周囲は森と海に囲まれた静かなエリアで、繁華街や大型商業施設に囲まれた立地ではありません。「街の刺激が少ない」ことを物足りなく感じる生徒もいますが、勉強と課外活動に集中する環境という意味では大きな利点です。
気候はカナダの中でも際立って穏やかです。バンクーバー島南部は国内で最も温暖な地域のひとつで、冬でも氷点下が続くことは稀。雪が積もる日数も限られています。「カナダ留学=極寒」というイメージを持って相談に来られる保護者の方も多いのですが、この地域に関してはまったく当てはまりません。ただし秋から春にかけては雨が多く、日照時間が短い時期が続く点は事前に知っておいたほうがよいでしょう。

治安面では、ミルベイのような小規模なコミュニティは都市部と比べて安定しています。加えてキャンパスが1つの敷地内で完結しているため、生徒が日常的に街へ出る必要がありません。この「移動しなくて済む」構造は、初めて海外に出る中高生の保護者にとって安心材料になります。
学校からは、中間休みを利用して西海岸の各地を訪れる遠征プログラムも用意されています。
キャンパス・施設

キャンパスは約90エーカー(およそ36万平方メートル)。1キロメートル以上にわたる海岸線に沿って広がり、桟橋やウォーターフロントの施設が直接キャンパスにつながっています。ボート競技の練習場所が校舎から歩いてすぐという環境は、カナダ国内でも他にほとんどありません。海に面した教室から勉強するという、写真映え以上の日常がここにはあります。
学術系の施設としては、複数の実験を同時進行できる大型のサイエンス・スーパーラボや、自習・共同学習向けに設計された学習センターが整備されています。アーツ関連では、陶芸用の窯やろくろ、木工用の工房、写真・映像制作のスタジオ、劇場、そして生徒作品を展示するギャラリーがあります。ロボティクスや科学イラストレーションといった、学業と芸術の中間に位置する分野の設備が揃っている点も特徴です。
- ウォーターフロント施設:1キロメートル以上の海岸線と桟橋。ローイングやカヤック、スキューバダイビングの拠点になります。
- サイエンス・スーパーラボ:複数クラスが同時に実験できる大型実験室。
- アーツ施設:陶芸工房、木工工房、劇場、写真・映像スタジオ、展示ギャラリー。
- アスレチック施設:体育館、スカッシュコート、テニスコート、ウェイトルーム、グラウンド。
- ボーディングハウス:8棟。各棟に共用キッチン、コモンルーム、Wi-Fiを完備。
寮・生活環境

ブレントウッドの寮は、Hope、Allard、Mackenzie、Alexandra、Privett、Rogers、Ellis、Whittall の8つのハウスで構成されます。特徴的なのは、通学生を含めた全生徒と全教職員が、いずれかのハウスに所属するという仕組みです。ハウスは単なる寝る場所ではなく、学校生活における第二の家族という位置づけになっています。ハウスごとに独自の伝統や行事があり、ハウス対抗の競技や催しが年間を通して行われます。
部
屋は基本的に2人部屋で、同学年の生徒とルームメイトになるのが一般的です。家具の配置や部屋の飾り付けは生徒の自由に任されており、毎日と毎週の部屋点検があります。
最初は面倒に感じる生徒が多いものの、卒業後もその習慣が続いているという声が学校に届くほど、生活習慣の形成に効いているようです。各ハウスには共用キッチン、テレビのあるコモンルームがあり、他のハウスの友人を招いて過ごすこともできます。

各ハウスにはハウスペアレントとアシスタント・ハウスペアレントが、自分の家族とともに隣接する住居に暮らしています。ひとつのハウスにはおよそ50名から60名の生徒が生活しており、そこに住み込みの教員スタッフ(BFA)やアドバイザーが加わる体制です。
重要なのは、これらのスタッフが全員、教員かコーチ、あるいはその両方を兼ねているという点です。授業でも寮でも同じ大人が関わるため、生徒の変化に気づかれやすい構造になっています。

寮生活で最初につまずきやすいのは、勉強でも英語でもなくルームメイトとの関係です。ブレントウッドは基本が2人部屋で、しかも週6日授業なので、ひとりになれる時間は決して多くありません。ここは向き不向きがはっきり出るところです。ただ、8つのハウスそれぞれに大人が住み込んでいて、Grade 12の生徒がプリフェクトとして下級生を見る仕組みもあります。相談先が複数ある学校かどうかは、事前に必ず確認しておきたいポイントです。
クラブ・スポーツ・アクティビティ


アスレチックスは週3日、火・木・土の午後に14時から18時近くまでという、日本の部活に近い時間が確保されています。競技の選択肢は20種目以上。ローイング(ボート)、ラグビー、サッカー、バスケットボール、フィールドホッケー、アイスホッケー、バレーボール、テニス、ゴルフ、クロスカントリー、スカッシュ、水泳、クライミング、柔術、ダンス、ヨガ、スキューバダイビング、フラッグフットボール、そしてアウトドア・パーシュートなどが並びます。
中でもローイングは、キャンパスが海岸線に直結しているという立地を最大限に生かした看板競技です。桟橋から艇を出せる環境を持つ高校はカナダでも限られており、学校は毎年レガッタ(ボート競技会)を主催しています。初心者から始める生徒も多く、経験がないことが参加の障壁にはなりません。海に面した学校を選ぶなら、この点は他校と比較する価値のある差別化要素です。

アーツの側も同じ比重で扱われます。月・水・金の午後にはアーツブロックが4枠あり、演劇、ミュージカル、音楽、ダンス、ドローイング、絵画、陶芸、木工、写真、映像、ロボティクス、ディベート、舞台制作、立体造形、科学イラストレーションといった分野から選択します。スポーツが得意でない生徒にも、午後の時間を打ち込める対象がきちんと用意されているという設計です。
カナダの私立高校をスポーツの観点から比較したい方は、スポーツ視点で見るカナダ私立高校もあわせてご覧ください。競技ごとに強い学校、州によるリーグ構造の違いなどを整理しています。
教育システム・カリキュラム

ブレントウッドはBC州のカリキュラムに沿って運営され、卒業時にはBC州の高校卒業資格であるDogwood Diplomaが授与されます。カナダの州立カリキュラムのため、カナダ国内の大学進学において扱いが明確であること、そして北米圏の大学が評価に慣れていることが利点です。IBプログラムは提供していません。IBを条件に学校を絞っている場合は、選択肢から外れる点にご注意ください。
上位層向けにはAP(Advanced Placement)科目が用意されています。APは大学初年度レベルの内容を高校在学中に履修し、試験のスコア次第で大学の単位認定につながる可能性がある制度です。アメリカやカナダの難関大学を志望する生徒にとっては、学力の客観的な証明としても機能します。APの仕組みについてはAPとは?カナダ高校留学での位置づけで詳しく解説しています。

時間割の面で日本の家庭が驚くのが、土曜日にも授業がある点です。土曜は10時15分から3コマの授業が行われ、午後はアスレチックスに充てられます。その代わり、学期中の休暇期間が長く設定されており、生徒は帰国して家族と過ごすか、学校が組む西海岸への遠征プログラムに参加します。週6日制は生徒への負荷が高い一方で、学習量と課外活動の両立を可能にしている仕組みでもあります。
また平日の夜には19時30分から21時30分まで、2時間の学習時間(Academic Prep)が全員に設定されています。この時間帯には教員も配置されており、質問できる体制が組まれています。BC州の高校卒業資格についてはDogwood Diplomaとはもあわせてご確認ください。
大学進学サポート

進学カウンセリングは、Grade 10の終わりにGrade 11の履修科目選択の指導から本格的に始まります。Grade 11とGrade 12では、各生徒のアドバイザーと大学進学カウンセリングチームが連携して進路を組み立てていきます。保護者もこのプロセスに参加することが前提とされており、志望校リストの作成段階から関わる形です。秋の中間休みには、大学キャンパスを訪問する機会も設けられています。

2026年卒業生の進路を見ると、5つのカナダの州、7つのアメリカの州を含む11か国、合計57校に進学しています。内訳はカナダ国内が約70%、アメリカが約10%、その他の国が約20%強。分野別では約40%が理系、3分の1が人文・社会科学系、約5人に1人がビジネス系という構成でした。特定の国や分野に偏らない進学実績は、生徒の志望が多様であることの反映といえます。
過去5年間の合格実績には、カナダのブリティッシュコロンビア大学、トロント大学、マギル大学、クイーンズ大学、ウォータールー大学、アメリカのスタンフォード大学、コロンビア大学、ブラウン大学、ダートマス大学、デューク大学、UCバークレー、UCLA、イギリスのユニバーシティ・カレッジ・ロンドン、エディンバラ大学、セント・アンドルーズ大学などが並びます。日本の大学では慶應義塾大学と早稲田大学への合格実績も挙がっており、日本への進路も現実的な選択肢として存在します。
卒業後の進路の考え方については、カナダ高校卒業後の進路|日本の大学に帰る?カナダの大学に残る?で整理しています。
留学生サポート体制

ブレントウッドは、留学生比率が高いインターナショナル型ではなく、北米出身の生徒が大半を占めるローカル統合型の学校です。日本語を話せる環境や、日本人向けの特別なクラスは用意されていません。この点は、留学生比率の高い学校と比較したときの明確な違いです。ただし逆にいえば、英語漬けの環境で北米の生徒と同じ授業を受けることになるため、英語力の伸び方は大きく異なります。
サポートの中心にあるのは、アドバイザー制度とハウス制です。全生徒にアドバイザーが付き、月曜の朝にはアドバイザーとの時間が時間割に組み込まれています。火曜と金曜にはチュートリアル(個別質問)の枠があり、授業でわからなかった部分を教員に直接聞ける仕組みです。夜のPrepにも教員が配置されるため、学習面で行き詰まったまま放置される構造にはなっていません。
スタッフと生徒の比率は意図的に低く抑えられており、教員は寮に住んでいなくても食事の時間や学習時間に関わることが求められています。ハウスペアレントは長年勤める人が多く、卒業後も連絡を取り続ける卒業生が少なくありません。中高生を海外に送り出す保護者にとって、「日常的に生徒を見ている大人が何人いるか」は、パンフレットの写真より重要な判断材料になります。
出願には30分の適性テスト(またはSSATのスコア)と、20分から30分の面接が必要です。面接はキャンパス訪問時のほか、オンラインでの実施にも対応しています。また学校は、留学生については出願前に入学事務局へ連絡するよう案内しています。人気校のため、希望学年の空き状況を早めに確認することをおすすめします。

ブレントウッドのようなローカル統合型の学校では、出願時点で相応の英語力が求められます。「入ってから伸ばす」ではなく「ある程度できる状態で入る」学校だと考えてください。英語力にまだ不安がある段階なら、留学生比率が高めの学校でワンクッション置くという選択肢もあります。どちらが良い悪いではなく、お子さんの現在地とご家庭の希望次第です。学校選びのタイプ別の考え方は、無料相談でも一番よくご説明している内容です。
費用
2027-2028年の最新の費用については、以下をご確認ください。詳細は、お気軽にお問い合わせください。

なお、留学生の場合は学費のほかに、新入生登録料、諸経費のデポジット、出願料、ガーディアン費用、航空券、医療保険などが別途必要になります。総額でいくらかかるかについては、カナダ高校留学の費用の「現実」で内訳を解説しています。




