
初回公開:2024年2月/最終更新:2026年7月
カナダの学生ビザ制度は、2024年に始まった大規模な改革以降、2025年、2026年と段階的に変更が続いています。このページでは、2024年の変更を起点に、現在(2026年7月時点)までの流れをまとめてご紹介します。
- 2026年の学生ビザ発給数は全国で40万8,000件(2025年比7%減)に抑制される予定です。
- 2026年1月1日から、公立DLIの修士・博士課程はPAL/TAL(州の証明書)が不要になりました。
- オフキャンパス就労時間は週24時間のまま継続しています。
- 配偶者ビザ(オープンワークパーミット)は2025年1月に大幅縮小され、修士(16か月以上)・博士・一部専門職学位の配偶者に限定。2026年3月にはさらに、最終学期の学生の配偶者は対象外になりました。
- PGWP対象分野リストは2025年6月に更新後、2026年は変更なしで凍結(現在1,107分野が対象)。
学生ビザ発行数の上限とPAL/TAL制度
カナダは2024年、留学生数の急増による住宅不足などを背景に、学生ビザ発行数に上限を設けました。この上限管理のために導入されたのが「PAL(Provincial Attestation Letter)/TAL(Territorial Attestation Letter)」で、州・準州が発行する証明書です。原則として私立・公立のカレッジ・大学、語学学校へ通う場合はPAL/TALがないと学生ビザの申請ができません。ただし6か月以下の語学学校の通学は、観光目的(ビザなし)であれば引き続き可能です。
PALそのものの仕組みや取得の流れについては、PALについての解説ページで詳しく解説しています。
2024/1/22以降の学生ビザ申請にPALが必須化。2024年の上限は前年から35%減の全体36万件。小・中学生や高校生、大学の修士・博士課程の学生、同一DLI・同一Study Levelでの延長はPAL不要。
全国の発給予定数は43万7,000件(2024年比約10%減)。うちPAL必須の申請は約31万6,000件、PAL免除は約12万件。
全国の発給予定数は40万8,000件(前年比7%減)。PAL/TALが必要な一般留学生枠は最大18万件で、申請受付上限は30万9,670件。2026年1月1日からは、公立DLIに在籍する修士・博士課程の学生はPAL/TAL提出が不要になり、受け入れ上限(Cap)の対象からも除外されています。
BC州について
BC州は2024年3月からPAL発行を開始し、全体で83,000件(前年の申請数97,000件から縮小)を割り当てました(公立53%・私立47%)。2026年の割り当ては24,786件と、2025年のおよそ半分にまで縮小しています。今後2年間に新設される高等教育機関には留学生の入学を許可しない方針や、私立学校側での留学生向け英語力条件の設定、公立校での学費透明性の向上なども2024年から継続する方針として明示されています。
ON州について
ON州は2024年3月の発表で、私立カレッジへのPAL配布をほぼ行わない方針を示しました(公立カレッジ・大学96%、語学学校・私立大学4%、キャリアカレッジ0%)。各校の留学生数は2023年時点のカナダ人学生数(初年度)の55%を超えない基準も設けられました。以降も配分数は縮小傾向が続いており、私立カレッジでのCo-op留学は引き続き難しい状況です。
オフキャンパス就労の時間
2024年4月29日の発表で、秋以降オフキャンパス就労対象の学生の就労時間を、従来の週20時間から週24時間に引き上げる計画が示されました。もともとの週20時間の上限は、2022年から2024年4月30日まで一時的に撤廃(無制限)されていましたが、この措置は4月末で終了し、秋から正式に週24時間へ引き上げられる形となりました。
2026年7月時点でもこの週24時間の上限は継続しています。カナダ・アメリカの研究では「週24時間以上働くと中退する可能性が高まる」ことも、時間設定の背景として説明されています。
配偶者ビザ(オープンワークパーミット)の変更
配偶者を帯同して留学する家族にとって影響の大きい制度変更が、2024年以降段階的に進んでいます。
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 2024年1月22日〜 | 修士・博士課程の学生の配偶者は引き続き就労ビザ申請が可能。カレッジ・大学(学士以下)レベルの学生の配偶者は就労ビザの新規申請が不可に。 |
| 2025年1月21日 | 対象がさらに限定。学生の配偶者が対象となるのは、16か月以上の修士課程・博士課程・IRCC指定の一部専門職学位プログラムの学生のみ。一般的な学士課程やカレッジのディプロマ・サーティフィケートの学生の配偶者は対象外に。(外国人労働者の配偶者についても、TEER 0・1、または一部のTEER 2・3職種に限定されました) |
| 2026年3月4日 | 延長申請も含め、学生が最終学期に入っている場合は配偶者ビザの申請が却下される取り扱いが追加されました。 |
2025年1月21日より前に承認された配偶者ビザは、有効期限まではそのまま有効です。延長を検討する場合は、現行基準(プログラムの種類・残り学期など)を満たしているかの確認が必要です。
ご夫婦・ご家族での留学で「配偶者の就労収入も生活費に充てる」という設計をされている場合、この配偶者ビザの制限は特に慎重な検討が必要です。以前は学士課程の配偶者でも取得できましたが、今は修士・博士レベルでないと基本的に対象になりません。渡航前の資金計画は、配偶者の就労を前提にしない形で組んでおくことをおすすめしています。
PGWP(卒業後就労許可)の変更
2024年はPGWP(通称ポスグラ)の対象が段階的に絞られる年でした。その後も対象分野リストの更新が続いています。
私立カレッジが公立カレッジのプログラムを提供するPPP(Public-Private Partnership)がPGWP対象外に(主にON州で提供されていたプログラム)。
修士課程の卒業生は、プログラム期間に関わらず3年間のPGWPの対象に(2年未満のプログラムでも条件を満たせば3年間取得可能)。
学士号以下(Diploma、Associate Degree等)の卒業生がPGWPを申請する際、①語学力証明(英語CLB5以上/フランス語NCLC5以上、4分野すべて)、②農業・ヘルスケア・STEM・熟練技能職・運輸のいずれかの分野専攻、という2条件が追加。修士・博士課程の学生はこの分野要件の対象外。
対象分野リストが2025年のExpress Entry優先分野に合わせて更新。119分野が新規追加される一方、178分野が一旦除外され、合計920分野に。
直前に除外された178分野が2026年初頭の見直しまで再度対象に戻され、合計1,107分野が対象に。
2026年中は対象分野の追加・削除は行わず、リストを凍結する方針が発表されました。現在の1,107分野がそのまま2026年末まで対象となります。
カレッジ・大学のどのDiploma/Associate Degreeが対象かは、IRCCが公表しているCIPコードの一覧で確認できます(学士・修士・博士号の取得者は分野要件の対象外です)。
まとめ:今後の見通し
2024年の制度改革は「その年限りの調整」ではなく、留学生数の抑制と、労働市場ニーズに合わせた選別という方向性で2025年・2026年も継続しています。全体としては、①学生ビザ発給数そのものの縮小傾向、②修士・博士課程など特定層への優遇、③配偶者ビザやPGWP対象の絞り込み、という3つの流れが続いていると言えます。渡航や進学プランを検討される際は、最新の州別PAL/TAL配分状況や、ご家族の就労ビザ要件を早めに確認されることをおすすめします。
情報ソース
- 2026年 各州PAL/TAL配分(IRCC):2026 provincial and territorial allocations under the international student cap
- PGWP対象分野リスト更新(2025年6月・IRCC):Update on field of study requirement for post-graduation work permits
- 配偶者ビザ 現行要件(IRCC):Help your spouse or common-law partner work in Canada
- 2024/4/29 ミラー移民大臣発表:Canada to introduce new rules around off-campus work hours for international students
- 2024/3/27 ON州発表:Ontario allocating international student applications to support labour market needs
- 2024/3/1 BC州発表:B.C. implements federal changes for new international students
- 2024/1/22 カナダ移民局発表:Canada to stabilize growth and decrease number of new international student permits issued to approximately 360,000 for 2024


2024年の導入当初は「一時的な調整」と見る向きもありましたが、実際は2025年、2026年と枠がさらに絞られる流れが続いています。特にON州は私立カレッジの対応が極端だったので驚きをもって迎えられました。BC州のCo-op系プログラムも、前年の半分近くまでPALが減っている学校もあり、渡航時期の候補は早めに複数用意しておくのが安心です。