留学を対象とした奨学金は存在しますが、条件や審査があり誰もが受給できるものではありません。まずは奨学金の仕組み・性質を理解のうえ、自分にあったものがあるかご検討下さい。
奨学金制度とは
一般的に奨学金と言うと「成績優秀者へ支給するタイプ」と「経済状況に応じて支給されるタイプ」の2種類がありますが、ここでは主に後者、つまり資金難を証明することで受けられるタイプをご紹介します。これらは主に日本の奨学金制度ですが、カナダでは留学生向けに後者のタイプは無いとお考え下さい。
返金の観点では、返金不要な「給付型」または利子をつけて返金する「貸与型」の2タイプがあります。留学の奨学金は殆どが後者の貸与型で、実態はいわゆる「学資ローン」です。申請には年収の証明(本人または親の所得など)が必要になります。
奨学金は支援団体のコンセプトに基づいて設置されており、支給する側の意向にそった対象、条件が定められ、また審査も必ず行われます。国が支援する制度の多くは「学生を海外へ送り込む」といったものなので、日本で現役学生の方が選択肢が多い傾向にあります。
奨学金制度のご紹介
ここでは、多くの方が利用できると思われる、政府主導で応募しやすい奨学金を3つご紹介します。
日本政策金融公庫
【条件等】学生・社会人OK、対象は語学学校・専門学校・大学等
⇒ホームページ
給付ではなく貸与(ローン)のみを行っています。上限350万円、金利1.68%、世帯年収の条件も厳し過ぎず、受験前からでも申し込み可能です。対象も大学・短大はもちろん、専門学校や語学学校も対象となり幅広く支援を行っている機構です。
主に日本で学生をしている方を対象にはしていますが、独立して社会人をしている方も申請が可能です(その場合でも親の世帯年収を申告する必要があります)。
弊社としては奨学金をお考えになる場合に初めにご検討を提案したいお勧めの機構です。以下に示すJASSOの奨学金と併用も可能です。
トビタテ!留学JAPAN
【条件等】日本の学生のみ、対象は語学学校・専門学校・大学等
⇒ホームページ
現在日本で学生(高校、専門学校、短大、大学、大学院など)をしている方が対象の、完全給付型(返済不要)の留学奨学金制度です。応募には留学の計画書作成や複数の審査などが行われます。語学留学にも適用出来る点が非常に魅力的です。
当初は2020年までのプロジェクトでしたが、2023~27年度まで実施する事が決定(2022/8/5)。
当初は2020年までのプロジェクトでしたが、2023~27年度まで実施する事が決定(2022/8/5)。
日本学生支援機構(JASSO)
【条件等】日本の学生のみ、対象は大学・カレッジのみ
⇒ホームページ
JASSOは名前のとおり学生が対象の奨学金を用意しています。従って社会人は対象外で、また語学留学・専門留学も対象になりません。カナダの場合は大学またはカレッジへの編入・進学に活用できます(カレッジの場合は大学編入コースのみ対象)。なお付属語学コースは対象外となります。
貸与型(借りる)と給付型(もらう)の二種類で複数の制度を用意しています。給付型は大学以上の就学で、かつ成績証明や推薦状などが必要になります。
金融系の学資ローン
上記以外にも銀行やクレジットカード会社が提供する学資ローンがあり、留学も対応しているものもあります。政府主導の奨学金と比べると金利が高くなりますが(多くは3~5%前後)、返済期限もかなり長く、多くの銀行が提供しているため選択肢は多様です。政府の奨学金が使えない場合は検討の価値があります。
なお学資ローン自体はたくさん存在しますが、案内ページだけでは留学に対応しているか不明なケースも多く、個々にお問い合わせいただく必要があります。例えば以下の千葉銀行は留学を対象としたローンがあります。
- 千葉銀行海外留学ローン(対象:千葉県、東京都、茨城県、埼玉県、神奈川県にお住まいの方)
その他の奨学金
財団が運営する奨学金は特定の大学に限定したもの、また修士・博士課程の方を対象とした奨学金制度もあります。以下はそのうちカナダが対象になりうる制度をピックアップしました。
- 高円宮記念クィーンズ大学留学奨学金:日本の大学2年生以上でクイーンズ大学へ留学する方
- ヴァニエ・カナダ大学院奨学金:カナダの現大学院生が対象
- バンティング博士研究員奨励金:博士課程修了者への研究奨励金
- 平和中島財団:大学院留学が対象