ビジネスも自然選択
企業は自分の努力で生き残ってると思い込んでいるが、生物の自然選択と同じで、環境に適しているから生き残る、適していないから絶滅する。実はそんなシンプルな理屈だけが動いているのでは無いかとも考えます。
会社のマーケティングは一見どこも一様で似たような活動をしていますが、顧客との向き合い方、経営スタンス等は各様で、深掘りすると個性が結構あります。
留学エージェント業界でも、何を強みとしてPRしているか異なります。例えば情報量、知名度、現地サービス、料金(割引)、規模、実績といった部分を強みとして強調する会社。そして企業カラーも良く見ればかなり異なります。
アピールするものが違えば、反応する人も違います。反応し、共感いただいた人がカウンセリングを開始し、最終的に顧客になる。つまり企業が個性を持つという事は、言い換えれば初めから自ら顧客を選んでいるとも言えます。(どのような顧客との出会い方でも、必ずそこには会社の方針や個性の影響があります)
こうやって集まった顧客をケーススタディとして、または成功体験を元に、さらに同方向の圧力が高まり、バイアスも加わり、経営方針が濃くなる。こうやって同じ経営者が経営を続けるほど個性が濃くなり、企業には個体差が広がる。これらの企業毎に異なる方針、カルチャー、ベクトルはそう簡単には変えられません。これが会社のDNAです。
そして変動する社会で生存競争をしていると、企業は自分たちの労力・努力で波を乗り越えていると勘違いするかもしれませんが、実際は自然界と同様に、環境(社会)に適応し生存しやすいDNAを持つ会社が生き残り、そうでない会社は小さくなるか消えていく。巨視的に見ればただそれだけなんだと思います。どのような活動をしてもその根底には変わらない企業DNAが存在し、たまたまその時点で社会から選ばれているだけ。勝つのではなく、単に生き残っているだけである。
コロナのような天変地異があれば種の選択圧が一時的に高まり、それこそいわゆる「自然淘汰(自然選択)」が短期間で進行する。
ちなみにここで言うDNAの実体は、目に見えない経営者の「考え方・性格」です。経営方針、ポリシーやビジョン、目標は経営者の心づもりで容易に変わりますが、経営哲学が変わる事はそうそうありません。
太上は下これあるを知るのみ
メンバーが主体的に動く
私の人生哲学の原点である老子には、以下の一章がある。
老子十七章
「太上は下これあるを知るのみ。その次は親しみてこれを誉ほむ。その次はこれを畏おそる。その下はこれを侮あなどる・・(続く)」
(現代語訳)
理想的な君主は、民衆がただその存在を知るだけで何をしているのか解らないくらいで良い。次に良い君主は民衆が讃える君主で、その次は民衆が恐れる君主、その次は民衆から侮られる君主である。
無為自然の老子哲学を為政者に向けた有名な句。為政者、リーダーの立場で読めばなかなか味わい深くないでしょうか。
これをビジネス・組織論にあてはめた場合、リーダーは指示したりチームを引っ張るのではなく、ただ存在する、程度に部下から認識されるという事になります。
一見無責任な話に聞こえますが、そもそもこれが成り立つには組織としての高い完成度が前提となります。つまりトップが口を挟まずとも動いていける自立的な組織、メンバーが主体的に動き、リーダーが介入せず意思決定・判断が行われる組織、という事になります。
リーダーが何もしないという意味ではなく、作為を行わないという事である。自分の希望する方向へ圧力を加えない、マイクロマネージメントをしない。ティール組織のように上下関係ではなく個々が横の関係でダイナミックに意思決定・判断が行われ、組織自体も動的に進化していけるものが理想だろう。これにはスキームだけでなく、個々がそのように動けるメンタリティに至る、つまり心理的安全性、および精神的な文化の醸成・構築が必要となる。
このような組織では、社員は上司に判断・許可を問いかける必要がない。この状態ならリーダーは社内のガバナンスへ割く時間が最小限となり、経営そのものに集中することが出来る。
これを実現するには、社内の秩序が完成しており、業務フローも迷いが無く明確、つまり誰がやっても同じように業務が流れるようにしなくてはならない。
業務フローについて
誰がやっても同じように業務がフローする・・言葉では簡単に言えるが、そのようなスキームの構築は簡単ではない。局所的には実現出来るが、仕事全体ではどうしても個人の判断や手作業に委ねられる部分を排除出来ないからだ。例えば大企業ですら個人の作業ミスによる大障害が定期的なニュースの見出しと化している。小規模な会社ではもっと個人の能力・判断に業務がゆだねられており、なおさらだ。
いずれにせよこれが実現、または合理化が進めば、業務フローそのものに関する疑問・相談・判断が減り、管理オーバーヘッドが減る。ティール組織または「太上は下これあるを知るのみ」に一歩近づく。
ただ網羅的に細かいルールを用意するのではなく、出来るだけシンプルで弾みのある柔軟なポリシーとすべきである。そうしないと進化・改善の余地がなくなる。そもそも細かすぎるルールは作為に近いものがあり、弊害が増える。
弊社のような小さい会社では、経営者やリーダーは、コマンダーでありながらプレイヤーも兼ね、大企業でいえば多くのタスクを一人でこなす状態にあり、足かせにもなっている。私が常に直面している大きな課題だ。
今は主に以下のような事に取り組んでいます。
・迷いのない業務フローや規定の構築
⇒実施済みのつもりだが、完成度は道半ば。常に改善中。
・権限の多くをスタッフレベルに落とす
⇒実施済みだが浸透にはさらなる努力と時間を要する?
・小規模組織を維持する
⇒現状維持
私のポリシー(チーム編)
弊社では知識・情報をWikiというシステムで社内共有していますが、ここに私の組織運営・経営のポリシーのコーナーもあります。その一部をご紹介します。
大切なのは、こういった方針はルールで押し付けるのではなく、個々のメンバーが内発的に動くようガバナンスする事です。それは簡単ではありませんが私の場合、指示や強制はせず、リーダーがこのスタンスを発揮し、その姿を見せる事で進めます。強制しない理由は、力関係では真の文化を作る事は出来ないからです。
外発的ではなく内発的にチームが動くようにするには、リーダーが哲学をもち、かつ時間をかけて進める忍耐力が大切と感じています。
心理的安全性がある
社内では誰が発言しても許容される。
自発的な行動や意見は歓迎される。(正しい・間違いは重要ではない)
そしてチームメイトをジャッジしない、評価しない、断定しない。
自発的に動ける組織
多様性を認め、話し合いを重視。
会社が押し付けるのではなく、スタッフ自身が考えて決めてゆける組織。
自らルールを作ったりチャレンジ出来、会社はそれを受け入れる。メンバーが主体性を発揮出来る。
ルールは最低限
ルールを作りすぎると、個性を排除し機械のように人を同質化させる。ルールを増やす事は、創造性を押さえつけ新しい可能性の芽を摘むこと。自由を奪い、個人の強みを活かす機会を奪う。
従って画一的なルールや目標を全員に押し付けてはいけない。それぞれにあった目標、責任、待遇があってしかるべき。
ルールを減らすことは、多様性を受け入れることである。個人個人で働き方をチューニングしやすくなり、パフォーマンスをあげやすくなる。
マイクロマネージメントをやめることは上司や経営者にとって勇気がいるが、信頼関係とのトレードオフである。ルールを減らす事のもう一つ良い点は、タスクが減り管理オーバーヘッドも減る事だ。
肩書はいらない
人にラベル(肩書)をつけた瞬間から余計な力が働き始める。
肩書きは思考に影響し、ポジショントークが増え、本質を見誤る。
役職・ポジションに固執する人は人望を失う。
肩書きによって「責任」を生み出すと、周囲に「無責任」が生まれる。
唯一、プラスに動くラベル・肩書は、その人の「名前」である。だから名前で呼び合えば十分。
下の名前またはニックネームで呼び合いましょう。
雑談推奨
会社の同僚は、家族の次、または家族に匹敵するほど時間を共にする。
同じチームメンバーであり、家族に準ずる仲間であるのが理想。
心理的な壁は出来るだけ無い状態が、よい関係作りになり、仕事のしやすさに繋がる。
それを手助けするのは、雑談や、ご飯を共にすること。
業務中の雑談、社費による食事は会社として推奨します。
仕事を分担しすぎない
工場のベルトコンベアや機械作業のように、業務を分担し過ぎてはいけない。
例えばカウンセラーなら、カウンセリング以外の手続きも出来るだけ一人で行う。(学校手続き、入金・支払いの管理、渡航までのフォローなど)
業務を分担しすぎると、他人を「機能」として見るようになり、敬意が薄れる。精神的なぶつかりや、衝突、不協和音が生まれる。
一方カウンセリング周辺の業務にも関わる事で、アイデア、改善点、問題意識が生まれる。
一流だからこそ
細かい作業もカウンセラーが行うのは、上記の「分担し過ぎる事の弊害」を避ける事が理由。
一流のプロであっても、泥臭い事も含めてやって一流。
テスラ・SpaceXのイーロンマスクは現場で従業員と一緒に働いて寝泊まりしたり、一流の医師も自分の手で手術を行います。
私が目指すのは、一人のプロとして、仕事を分割しすぎず一通りの業務をこなし、かつ業界高水準の報酬を得る、というものです。
信用する
前職(同じく留学エージェント)でメールカウンセリングをしてる頃に
カウンセリングは「信用」が全てだと悟りました。
そして今も会社経営していて、ビジネスは「信用が全て」と改めて痛感する日々です。
よーく考えると世の中この「信用」で全て成り立っているんですよね。
個人で世の事象全てを自分で見て確認する事なんて出来っこないから、
誰かが言ったことを信じないと何も始まらない。
だから日々、友人などと話す度に無意識で「信用」する作業を何度も繰り返してる事に気づきます。
でも商売は初めからお客さんと信頼関係にある訳ではありません。
本当は、値段とかサービスとか語る前に信用してもらわないといけないのですが、
この業界の殆どは順序を無視して、その逆で進めるケースが多い。
信用が先と言っても、「信用してもらうまで教えないよ~」って意地悪する意味ではありません笑
申し込みとる事ばかり考えるのか、誠実にお客さんと向き合うのか。それだけです。
信頼優先だと、申し込みいただけなくてもご縁が無かったと思うだけですし、なんとか言いくるめて売上をとろうとは思いません。
売上優先だと、信頼関係があろうが無かろうが、なんとか魅了させてお申し込みが頂ければ良いという発想になる。
信用ばかり考えてたら時間かかるし、むしろ売上意識が落ちてビジネスとしてマイナスでは?
と普通だったら考える人がいるかもしれませんが
この地味で一番大切な仕事をコツコツ続ける事が売上主義よりも大きな成功にたどり着くんです。
時間はかかるかもしれません。
が、私はもうほぼ1000%確信し、かつ今も成長を実感しているので
軸は過去から未来までブレません。
ショートカットを狙って美味しい実をとりたいと思うのが人間性ですが、
これは目に見える目先の欲に翻弄されてるだけです。
小さい成功で低空飛行、またはリスクを抱えて成長するならショートカットでよいが、
大きな成功は回り道ルートになっていて、でも結果的に早くゴールにたどり着くのです。
直線的ではなく、曲線を描いてゴールへ向かう方が、ビジネスでは正しいという事です。
(短距離走ではコレやってはいけません)
2500年前の本を読む
最近、中国古典の王道、論語や孫子の兵法(の解説書)を読んでます。
孔子や孫武(上記書物の著者)は今から2500年前の人物にも関わらず
教えが現代人の心に突き刺さり、
人生や人間関係、ビジネスや会社経営などあらゆる事に適用出来てしまいます。
それを考えると、人間の真理というのはもう2000年以上前に明らかになっているんだと、驚きを隠せません。
こういった本に限らずビジネス書や成功した方の本は、読むほどに共通点が多いと感じますが、
実際に言葉を変えて同じ真理を語っているのだと思います。
人生は、その共通する真理を体験から見つけていく旅なんだとさえ感じます。
さて孫子という古典は「兵法」なので、戦術書、つまり戦争をするための本です。
ですから「敵」の存在が常にある訳ですが
私がコレを経営者視点で読む時に「敵」は何だろうと考えます。
私は他社エージェントさんは敵とは微塵も思ってませんし(逆に仲良い位です)、
他社が敵と捉えている会社の未来はたかが知れています。
まぁ私は普段、敵は自分の中にあると考えているのですが、
孫子の兵法を読むにあたってはよく「マーケット」を敵と捉えて読み解くと腹に落ちる事が多いです。
マーケットは実際は敵ではないのですが(むしろ逆の関係になりたいですよね笑)
「攻略対象」と考えると共通する視点を持つことができ、
面白いように吸収できる事があります。全ての章ではありませんが。
戦略書という事で、具体的な戦術にもいろいろ触れてますが
孫子での大前提は意外にも「戦わずして勝つ」「勝算無きは戦わず」です。
と言っても「仕事をしないで儲ける」という解釈はやり過ぎですが(笑)
自分達がどこを攻めるべきか、チームを守りつつどのフィールドで戦うのか?
そうやって考えながら読んでいます。
孫子の兵法は、極端に言えばこの有名な言葉で多くのことが吸収されてしまう気がします。
「彼を知り己を知れば百戦して殆うからず。」
⇒敵を知り自分を知れば戦いに負けることはない
いやー古典は面白い。今後の人生で何度も読み返したい。
強欲
「強欲の僕(しもべ)となるのではなく、強欲の主となれ」
最近読んだ本で見つけた言葉。まったくその通りですね。
これが運命の分かれ道。
常に変わらなければいけない
個人的な感覚ではありますが、留学業界のマーケットはここ数年で劇的な変化を肌で感じます。
過去と同じ事をひたすら続けていては問合せやお申込みを頂けなくなっていますし、
そもそも少子化、フィリピン留学の台頭、オーストラリアワーホリの存在感、新旧大小あわせた留学エージェントのレッドオーシャンで
カナダ留学のサービスを続けるのは以前よりも厳しさを増しているのは間違いありません。
留学業界は今まではちょっと特殊だったと思います。
何故なら過去10年15年ほどビジネスモデルは変わらず、同じ事を続けても何とかやっていけたからです。
そんな楽してビジネスが成り立つ業界そうそうありません。
私は、思考停止して工夫無しに同じビジネスを続ける風潮には違和感を感じていました。
同じことを続けてビジネスが成立する業界は世に存在しません。
時代にあわせて常に変化が求められ、変化しない会社はその理由すら知りえず滅ぶ。
お客様に十分なサービスを提供し、少しでも多くの方に貢献するには、そもそも会社が存続しないといけません。
つまり利益をあげ、素晴らしい今のスタッフを今後も雇用し続ける事が大前提です。
今後も力強く事業を続けるため、参入障壁の高い分野へコストと時間を落として開拓し、
マーケティング手法やカウンセリング手法も常に変化を受け入れ、
また学校紹介に全てを委ねず多彩な利益ポートフォリオを目指して進んでゆきます。
これが時代に合わせたビジネスの生き延び方だと考えています。
このSurviveしないといけない環境、変化を求められる会社運営は
大変でもありますが、一番面白さを感じて楽しい部分でもあります。
マイルストーンカナダは、常に斜め先を目指してこれからも突き進んでゆきます。
カウンセラーは売り上げ基準で学校紹介するのか?
「エージェントは利益の高い学校を優先して紹介しているんじゃないか?」
という声をネットで見る事があります。
私自信が留学生だった時も、エージェントが紹介する学校は背景に何か理由があるんじゃないかと疑っていました。
(留学前にネットで調べ上げて作ったStudy in Canadaでも、エージェントに対する持論を色々書いたものでした)
時はたち私自身が留学カウンセラーを経験し、今は留学センターを運営する立場になりましたが、
結論から言うと、少なくとも私は「コミッションが大きい学校を紹介しよう」という発想になる訳がありませんでした。
理由はシンプルです。
カウンセラーやエージェントにとって大事なのは、売り上げよりなにより
お客様が学校に満足していただく事。
もうこれに尽きるし、これ以外にあり得ません。
きれいごとで言っているんじゃありません。
何故ならここがズレてしまうと、学校キャンセルだったり、私たちへの信頼が失われ他社へ移ってしまったり、弊社を応援してくれる顧客が減り、
結果お客様・エージェントの双方にとって不幸以外のなにものでもないんです。
だから私たちのカウンセラーは、少しでもその人の事に興味を持ち、理解に努め、
学校やプランも最適な選択になるよう最大限の努力をしています。
私たちも人間ですから仕事を続けるにはモチベーションが必要です。
エージェントにとっては数字や売り上げよりも、お客さんとの関わりが一番のやる気になります。
現地オフィスを運営するメリットは、毎月毎月の、たくさんのお客様との出会いです。
物を売って終わり・・ではなく、私たちは一定期間みなさんと関わりを持つことになりますが、
お会いしておしゃべりしたり、一定の時間を過ごさせていただきます。
目的も背景も年齢も、性格も生き方も、本当にみなさん知れば知るほど個性豊かな方ばかりで、
こんな出会いが楽しくない訳がありません。
世の中いろんな会社があるかもしれませんが、
少なくとも私たちの会社は上記の信条をもとに、スタッフ全員と意識を通い合わせています。
教師は自分の中に居る
生きている時間の一瞬一秒全てに学びが溢れている。
日常のささいな事柄からも学ぶ事ばかり。
成長の根源は学ぶ行為そのものではなく、
目の前に溢れかえっている学びに気づくかどうかだけである。
人には、謙虚さ・冷静さが必要だ。
春のセミナー日程を終えました
3/30東京セミナーの様子
3月の日本出張スケジュールがほぼ終了しました。
セミナーやイベント等を通して総計120名ほどのカナダ留学をお考えの方とお会いする事が出来ました。
このような機会が持てたことに、心から感謝します。ご足労いただいた皆様、ありがとうございました。
留学エージェントを営む根底のモチベーションは、ビジネスや儲けより「いろんな方に出会えること」なんです。
海外へ行く事は大きな決断だと思いますが、そんなハードルを越えようとする前向きな方から
その背景や考えを伺い、その人の人生の一部に触れることは、刺激的で楽しいのは当たり前です。
皆さんとお会いするのは新しい友達が増える時の感覚に近い。
語学学校へ通い始めて、日に日に知り合いが増えるあのワクワク感を思い出します。
ご縁のありました方は今後カウンセラーと相談を進めていただきますが、
カウンセラー・チームも新しい方との出会いをいつも楽しみにしています。
また次の機会に、新しい方とお会いできるのを心から楽しみにしています。